シカゴの落雪
この原稿は東京大学の清家剛先生に依るPCSA広報誌(1999年19号)にご執筆頂いた原稿を当時のまま掲載しております。所属・肩書き等も当時のままです。
東京大学大学院 新領域創成科学研究科 環境学専攻 助教授・博士(工学)
清家 剛
改修技術の重要性
1952年の日本相互銀行本店と銀座露天商組合ビルを皮切りに、プレキャストコンクリートが外壁として使用されるようになって50年近く経過しようとしている。その日本交互銀行本店ビルは現存し、メンテナンスを続けて使用されている。建築表現としての最初のPCカーテンウォールは、1964年の赤坂中央ビル、岸記念体育会館、富山第一生命ビルの3棟であるが、これらもすでに35年が経過している。また、超高層ビルには、1971年の京王ブラザホテル、日本IBMビル、ホテルパシフィック東京の3棟以降、盛んに用いられ、20年を経過したものが多数存在している。
こうした建物はまだ寿命に達しておらず、今後も使い続けるものが多い。しかし例えば50年の寿命があれば、設備や内装の寿命などを考慮すると、一度は大規模な改修が必要となる。また、超高層ビルなどは、そう簡単に壊せるものではなく、使い続けるために改修を行うことになる。今まさに初代のプレキャストコンクリートを使った建物たちの改修の時代に入っているといえる。
そこで、今回はPCカーテンウォールと改修技術について取り上げる。[続きを読む]