PCカーテンウォールの源流 第2回

この原稿は東京大学の清家剛先生に依るPCSA広報誌(1999年19号)にご執筆頂いた原稿を当時のまま掲載しております。所属・肩書き等も当時のままです。

東京大学大学院 新領域創成科学研究科 環境学専攻 助教授・博士(工学)

清家 剛

本連載は、4回にわたりPCカーテンウォールの発達の歴史を振り返り、現在の技術の原点となった建物を紹介するものである。今回はその第2回として「PCの多様な展開」について紹介したい。尚、この原稿は1994年にプレコンシステム協会より出版された「ファサードをつくる」の内容を、再編集したものである。

第2回「PCの多様な展開」

化粧部材としてのPCの確立

前回紹介した日本相互銀行の成功を受けて、前川國男はその後のPCを化粧部材として採用した一連の作品群を設計している。この中で設計上あるいは製作上のノウハウも蓄積され、取付けディテールなども確立していく。例えば昭和29年の神奈川県立図書館音楽堂は日本相互銀行本店の延長上のものであり、外壁をPCで構成しているが、昭和37年の神奈川県青少年センターでは、PCで方立や窓台、まぐさ等の部材を組み立て、それにサッシを取り付けている。

さらに前川國男の関わった一連の作品群の中で、代表的な2つの建物、昭和34年の国立西洋美術館と昭和36年の東京文化会館では、洗い出し仕上げの表情を実現するために、石を並べたPCパネルを採用している。

ここでいうPCカーテンウォールと化粧部材の違いは、前者があくまで外周壁を構成するものであったのに対して、化粧部材と呼んでいるものは、明確にカーテンウォールとなっているかどうかが不明瞭なものが多い。また、日本相互銀行で見られた軽量化や工業化を目的としているというよりは、むしろ造形性を追求したものとなっていることが多い。[続きを読む]

 
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