ザ・ペニンシュラ東京

ザ・ペニンシュラ東京の正面
●所在地
東京都千代田区有楽町1-8-1
●竣工時期
2007年5月
●規模
延床面積/58,571.57m²
地下4階/地上24階/塔屋3階
高さ/111.87m
●PC仕上げ・仕様
アーキテクチュラルPCサンドブラスト仕上、浸透性吸水防止剤塗布
●設計・監理
株式会社 三菱地所設計

かつてこの敷地には建築学会賞を受賞した日活国際会館(1952年竣工)が建っていた。上層階には石原裕次郎やマリリン・モンローといった著名人が利用したホテルがあり、まさに戦後の復興を目指した建物であった。その建替えにあたり、土地の持つ記憶を新しい建物につなげ、丸の内仲通りを軸とした丸の内再構築の新しいゲートとしての役割を建物に与えられればと考えた。

敷地は霞ヶ関から銀座に向かう晴海通りの軸線上に位置し、周囲からの視認性が高く、皇居の樹木や石垣、お堀の素晴らしい眺望が確保された、東京でも最高の立地に恵まれている。日本の文化やデザインを反映させつつ高級ホテルに相応しい、Warm(温かく)・Inviting(招き入れる)・Distinguished(際立つ)建物を目指して設計を進めた。周囲の事務所ビル群とは違った特徴的な建物デザインで、夜間には周囲の蛍光灯群の中に暖かい白熱灯の光が灯る。正面には大きな行灯が2つ浮かび上がり、高さ31mと100mには小さな行灯が連なるイメージとした。

正面の車寄せ、皇居側の公開空地によって、交通量の多い日比谷交差点に快適なオープンスペースを提供している。日本の四季を表現する桜・百日紅・楓・黒松の植栽と、打ち水をイメージした噴水がゲストを迎える。高さ31mまでの基壇部の外装は、ナミビア・イエローの花崗石打込PC版と無着色のブロンズ材で最高級グレードのホテルに相応しい素材を用いた。部分的にブロンズ材の格子状ルーバーで繊細なディテールを表現している。タワー部には日本では珍しいアーキテクチュラルPCを用いた。正面は大小の庇を重ねて垂直性を強調し、ホテルらしく、日本を意識したデザインとしている。クラウン部は基壇部よりつながる垂直性を表現しながら、昼も夜も白く輝く特徴的な頂部となった。

最も大きなチャレンジは、アーキテクチュラルPCの実現であった。アメリカの優れたアーキテクチュラルPC技術に学びながら、日本独自のPCを模索した。日本の川砂ではなく中国の黄砂を用い、顔料ではなく素材自体の暖かみを生かすことにより、細部にヒューマンスケールを感じさせる陰影を作り出しながら柔らかい色を実現した。着工当初から施工者やPCメーカーと綿密な打合せをしながら施工方法の検討、砂の選定、色むらや気泡をなくす打設方法等の試行錯誤を重ね、今までのPCの表現を越える仕上がりとなった。

株式会社 三菱地所設計
佐藤 和清、大草 徹也、宮地 弘毅

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