ミッドランドスクエア

- ●所在地
- 愛知県名古屋市中村区名駅4-7-1
- ●竣工時期
- 2006年9月
- ●規模
- 延床面積/193,450.74m²
地下6階/地上47階/塔屋2階
高さ/247.00m - ●PC仕上げ・仕様
- 花崗岩J&P
- ●設計・監理
- 株式会社 日建設計
「ミッドランドスクエア」は昭和30年代に建設され、長年親しまれてきた「豊田ビル」と「毎日ビル」の建替計画である。地上部は中部地区一の高さ247mのオフィスタワーと物販・飲食店舗、シネマコンプレックスからなる高さ50mの商業施設で構成される。オフィスタワーは名古屋の旧都市軸に並行な配置とすることで栄方面からの景観に正対し、53m×53mの正方形の平面形状に外観を特徴付けるシャトルエレベーターシャフトを付加した形状としている。外装は熱負荷の大きい西側外壁と最頂部のヘリポートを繋いだ花崗岩貼りの逆L字形状とすることで特徴を持たせた。他の3面はビジョン部のガラスカーテンウォールと、スパンドレル部の花崗岩(打ち込みPCa版)を同一面としたミニマムな部材構成により、ガラスの透明感と石の安定感を共存させた、モノリシックな外観を構成している。このシンプルな構成の中には必要な機能が整理され組み込まれている。一つはTV電波障害対策として、ガラス面には電波透過型断熱フィルムを採用し、スパンドレル部花崗岩には電波吸収体打ち込みPCa版を採用することで影響を最小限とする計画としている。また、縦方立を兼用した、PCa版打ち込み外装メンテナンス用ゴンドラレールを6.4mスパン毎に配置し、長寿命建築として欠かせないメンテナンス機能も組み込まれている。室内側にはぺリメーター廻りにエアバリア方式によるぺリメーター空調、中央制御による自動調光ブラインド等、シンプルなデザインと一体化された必要な機能が各所に散りばめられている。商業施設の外観はJR、名鉄、近鉄等の百貨店と正対する西面を、ガラスカーテンウォールを主体に透明感のある表情とすることで、街へにぎわい感を表出することを意図している。1・2階の独立した店舗ファサードと4・5階のガラスカーテンウォールの間をさりげなく仕切る帯状の花崗岩はオフィスタワーと同種のものとし、建物全体の均整を図っている。この他内部空間には、地下空間の歩行者ネットワークを繋ぐサンクンガーデン、オフィスタワー屋上の屋外型展望施設スカイプロムナード、世界初のシースルーシャトルダブルデッキエレベーター等各所に街・人とこの施設を繋ぐ空間が広がっている。街と一体化したこの建物が、街を繋ぎ、街ににぎわいをもたらし、今後時代の変遷を経ても変わりなく、旧建物同様、地域に親しまれる存在となることを切に願っている。
株式会社 日建設計
亀井 忠夫、村尾 忠彦