九州大学 ウエスト3号館・ウエスト4号館

九州大学 ウエスト3号館・ウエスト4号館の正面
●所在地九州大学 ウエスト3号館・ウエスト4号館の正面
福岡県福岡市西区大字元岡744番地
●竣工時期
2005年5月
●規模
延床面積/55,478m²
地下1階/地上9階/塔屋1階
高さ/46.90m
●PC仕上げ・仕様
磁器質タイル打ち込みPCaカラーコンクリートPCaフッ素樹脂塗装PCa
●設計
MCM設計共同体
株式会社 三菱地所設計
シーザー・ペリ アンド アソシエーツ ジャパン株式会社
株式会社 三島設計事務所

九州大学は、世界規模で変化する社会に対応する新しい時代の大学像を全国に先駆けて実現するために、伊都キャンパスを福岡市西部の糸島半島に建設中である。この施設は、『新キャンパス・マスタープラン2001』を前提とした「工学系地区基本設計」を策定しこれに基づき伊都キャンパス最初の建物として建設された。

2005年10月より移転第1陣として、工学研究院機械航空系部門群及び物質科学系部門群が入居し、多彩な研究活動が行われている。

伊都キャンパスでは、起伏のある敷地に沿って研究教育棟を連結して配置する。専門領域を超えてキャンパス全体が一体化され、学際的研究領域の展開が可能になる。

ウエスト3,4号館は、大学の風格と新キャンパスへ九州大学の伝統を継承する表現を重視している。上層階には、大学院のための空間を配置している。上層各階は、ラボゾーン(写真 下)、セミオフィスゾーン、オフィスゾーン(写真 上)からなる。実験室を配置するラボゾーンは、テクニカルシャフトやバルコニーを設け、将来の間仕切り変更にも対応する。研究内容により、スペースも用途も変更可能なつくりになっている。教員研究室の並ぶオフィスゾーンは、交流を促進するために設けたリフレッシュスペースにより長大な壁面の分節化を行っている。低層階には、ゆとり空間、情報学習室、講義室など、学部学生のための空間を配置し、キャンパスモールと一体になったにぎわいを創出している。端部には、客員教授室や階段室を配置し、キャンパスモールからのアイストップを形成するとともに、景観の連続に強弱のアクセントを加えている。

外観は、上層部各ゾーンと低層部をそれぞれの機能にしたがって表現している。外壁のベースとなる部分は、PC版とアルミサッシで構成されており、素材感のあるアースカラー(自然色)を基調としている。タイル打ち込み、カラーコンクリート、フッ素樹脂塗装を使い分け、耐久性の高い仕上げを施している。また、建物に奥行き感を出すために、リブを付け、細部にきめ細かなデザインを施すとともに、防汚タイルの使用や水切り金物の打ち込みによってメンテナンス性を高めている。さらに、日射負荷低減のためにPC版による庇を設置し、自然換気を促す換気システムの導入などを行い、環境負荷低減を行っている。各面で部材の統一化や一部に型枠兼用のハーフPC版を使用することにより、合理的な施工を実現した。

この施設から、大学の新しい歴史が刻まれ、多くの優秀な人材が育っていくことを願っている。

シーザー・ペリ アンド アソシエーツ ジャパン株式会社
西野 隆夫

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