大同生命霞が関ビル

- ●所在地
- 東京都千代田区霞が関1-14他
- ●竣工時期
- 2003年7月
- ●規模
- 延床面積/22,850m²
地下1階/地上20階
高さ/105m - ●PC仕上げ・仕様
- タイル打ち込みSFRC
- ●設計
- 株式会社 日建設計
敷地は千代田区の霞が関官庁街で東京駅の南西約1.8kmに位置し、地下鉄も南西約150mに虎ノ門駅、北側約180mに霞ヶ関駅があり、そのアクセスの良さは群を抜いています。また北側には日比谷公園が広がり、公園や新幹線側に対して建物の存在をアピールすることが可能な、絶好のロケーションでもあります。 建築主から求められたことは、まず第一に、ヴォーリズの設計による旧大阪本社ビルのイメージを継承した風格ある外観の実現でした。周辺のビル群に埋没しないよう、地上20階、高さ105mに高層化してビルそのものの視認性を高めた上で、縦ライン強調のデザインとし、テラカッタタイルに通じる人肌の温かみを感じさせる色調でまとめました。
外観は、基壇・中層・頂部の3層構成としています。基壇部は重厚な柱によって支持するピロティとその上部の縦長の格子窓で構成し、天井高約8mのピロティを大きなガラススクリーンで包み込むことにより、開放的な印象を持つエントランスロビーとしています。中層部は、2種類の幅をもたせた柱型による縦基調の窓で構成し、表情豊かで彫りの深い外観を創り出しています。頂部2層分は壁面をセットバックさせて周辺の四角い官庁ビル群と対比させ、建物のシルエットを特徴づけると同時に顕著性を高めています。
建物の窓周りは、柱間(7.2m)に4つの縦長窓を設けています。見付け幅の小さな鉄骨柱を細かく配置することにより、室内側に柱型が出っ張らない、使いやすいオフィス空間を実現しています。ガラス面を外壁柱面より400mm内側に設置することで、奥行き感のある外観を創り出し、さらに柱型をシャープな印象で実現することにこだわり、極薄のSFRCにタイルを打ち込んでいます。
無機的な色調でまとめられた周辺都市景観に、霞が関ビルが一種のやすらぎをもたらすことができれば幸いです。
株式会社 日建設計
川島 克也